Yoshihiro Tsuduki's RaceReport
クルマが好きッ
筆者の愛車紹介と、クルマ関連の雑記。
都築's Bicycle Life
運動不足解消とダイエットに自転車を!
みてくれR/C
R/Cカーいわゆるラジコンカーの専門サイト。
Other Hobbies
その他、趣味に関して日々感じたこと。
Links for Hobbies
趣味関係サイトへのリンク集。
WebLog
筆者のbLog。仕事・趣味、ごちゃまぜです。
モタスポTopへ戻る

このページについて

このページは筆者の趣味の一つであるモータースポーツについて、観戦レポートや感じたことなどを書きつづっていくページです。
書いてあることは筆者個人の感想なのであらかじめご了承下さい。

筆者自身が自家用車でサーキット走行したことについては、クルマが好きッのページにありますのでそちらをご覧下さい。

'98 FIA GT選手権 第6戦 鈴鹿 "ポッカ1000km"
いや〜、久しぶりでした。夏の鈴鹿の名物の一つ、『鈴鹿1000km』
いつのまにやら世界選手権になって、とてつもないレースになっていました。
なんといってもGTカーの世界選手権です。
メルセデスとポルシェがワークスチームを繰り出して覇を競い、そこにたくさんのワークス/プライベート入り交じったチームがからんで、車種ヴァリエーションは見ているだけでも楽しめますがあります。
こんなレース国内にはありません。(いや、スーパー耐久は結構……でもスピードが違うからなぁ……)
で、その中でも一際異彩を放つパノスのフロントカウルの前で記念撮影。いったいなにが異彩なのかは(知ってるでしょうけど)後述ね。

上の画像を見て下さい。
左が今回鈴鹿にやってきたメルセデスの旧型CLK-GTR。ル・マン以前のワークスカーです。
右は、'96年に鈴鹿にやって来たITC(DTMと言った方が通りがいいかな?)で使用されていたメルセデスCクラスです。
そっくりでしょ。
Cクラスはさすがにフロントエンジンですが、ラジエータとかフロントブレーキダクトとかの採り回しを見れば、このGTカーはITCのクルマを元に設計されていることは一目瞭然です。
ところがこいつを見て下さい。
同じメルセデスですが、ル・マンから投入されたCLK-GTR LMです。
ラジエータはコクピットの後ろに移され、ラジエータエアはコクピットの横、ドアの中を通って後ろに導かれています。
ラジエータがなくなった分サスアームの取り回しが楽になって長いアッパーアームが使われています。
ノーズ先端にある丸い穴は、鈴鹿スペシャルとも言えるコクピット冷却用の空気取り入れ口で、ここから入った空気はドライアイスで冷やされ、冷風となってコクピット内に流入するそうです。鈴鹿の暑さには去年相当懲りたんでしょうね。
GTというレースは、いいもんです。こんなクルマが走れるんです。
パノスGTR1は、アメリカ人のドン・パノスというおっちゃん(いや、一応自動車メーカーなんだけど)がカネを出して、フォーミュラレーシングカー製作で知られるローラ社が設計・製作した、フロントエンジンのレーシングカーです。
ダンパーの向こうに見えている三角形のモノが、フロントミッドに積まれたV8のヘッドです。フォーミュラカーのエンジンセクションをそのまま前に持って来て、その前にクラッシュボックスとフロントサスをくっつけたような構成。むちゃやん。
ところが、これがけっこう速い。
速いが、やかましい。もーねー、ハーレーダビットソンが8台並んで走ってるような音。とてもレーシングエンジンの音じゃない。
でも、けっこう速いんだよな〜。う〜ん。おもしろい。
レーススタート直後の1コーナーです。
ポールポジションからトップを保ったまま1コーナーに進入したのが、優勝したメルセデスベンツCLK GTR LMの1号車。ベルント・シュナイダー組です。
全てはここで決まりました。
とにかくこいつはめちゃくちゃ速い。暗くなってきて、ヘッドライトしか見えなくなっても、こいつらだけは判る。(いや、パノスも音で判るけど)だって明らかにスピードが違う。
メルセデスとポルシェのワークス、合計4台のなかで、このクルマだけが結局ノーミスで走りきり、しかもラップタイムも安定して速いんだから、勝負になりません。
ポールポジションから実質上のトップを一度も譲らず、まったく危なげのないレースでした。
このテの外車が参戦するレースで都築が応援するのは、いつもポルシェ。
今回はこの2台の911GT1 98です。ゼッケン7番には、マクラーレン・ホンダF1のテストドライバーとして日本でも名が知られていたアラン・マクニッシュ。8番にはポルシェ使いの耐久スペシャリスト、ボブ・ウォレクが乗っています。
今年のル・マンのファイナルラップを思わせるこの光景は、実はフォーメィションラップの時に撮影しました。
で、まだ序盤だというのに、土屋圭一がやっちゃいました。
1コーナー脱出の部分でアウト側にコースオフ。そのまま土煙を上げてS字前までダート走行です。
しかしここで無事にコースに戻れたのは、鈴鹿を知り尽くしている日本人ドライバーの強みですね。
1〜2コーナーのサンドトラップは深くて、下手に踏み込むとスタックして動けなくなります。タイヤバリア際の草のある部分を走ってS字進入のあたりでコース復帰すれば、そのリスクは避けられるわけです。
しかし、全日本を代表して出走したこのスープラとチーム国光のNSXでしたが、GT1勢には格の違いを見せつけられただけでしたね。レギュレーションが違うから仕方ないんですけどね。
右の画像を見て下さい。
全てほぼ同時刻のGT1クラス3車の、1〜2コーナーのつなぎの部分の画像です。
ポルシェとパノスはブレーキが赤熱していますが、メルセデスはブレーキングしている様子がありません。
実際、ここのスピードがぜんぜん違う。
思うに、メルセデスはかなり曲がりやすいセッティングになっているんですね。他のクルマがブレーキングしないと入っていけないコーナーを、ギアダウンだけで曲がってしまえる。
特にパノスのフロントブレーキはホントに真っ赤でしょ。前にエンジンがあって重いもんだから、向きが変わらないんですよ。で、ブレーキングで無理矢理向きを変えてやらなきゃいけない。
それにくらべればポルシェはまだリアブレーキにも火が入っていて、前後のバランスがとれていることが判ります。

しかしこれじゃあ、まるで勝負にならない。メルセデスはたぶん操作の繊細さが要求されるでしょうけど、少なくともワンラップの速さでは、他車に対して完全な優位を持てます。
ポルシェというメーカーは956の頃から『ドライバーの負担を軽くするクルマ』『ワンラップのタイムよりもゴール時の結果を重視したクルマ』を作ってきて、今回のGT1 98もその延長線上にあるようですが、これでは勝てない。まるでスピードが違います。

応援しているポルシェは完敗しちゃいましたが、やはり鈴鹿1000kmは楽しいです。
あまりの暑さに6時間のレースのうち1時間は日陰で寝ないと倒れちゃいますけど、これだけクルマにヴァラエティがあると面白い。
全日本GTにもメルセデスやポルシェが走ってくれるといいのになぁ。という思いがまた強くなった1日でした。