「オプションパーツを組み込む」というのは、R/Cカーを楽しむ上において非常に大きなウェイトを占める部分です。
買ってきたキットを組み立てただけのマシンは、誰でも持っている、どこにでもあるクルマですが、オプションパーツを組み込むことによってそれは個性を持った「自分だけの」マシンに変わるのです。
しかし、世にこれだけオプションパーツが氾濫するようになると、そのどれを選んでいいのかわからなくなってしまいます。中には組み合わせて装着するとかえって性能を落としてしまうものや、自分には必要のないパーツもあるかもしれません。
よく誤解されているのですが、オプションパーツは「何でもかんでも取り付ければ性能がアップしてスピードが上がる」ものではありません。操縦技術はもちろん、路面状況、走らせるコースの特性などに合わせ必要に応じて取り付けなければ、かえって操縦しにくくなってしまったり、トラブルの元になったりすることもありえます。
ここでは、数あるオプションパーツから、「これだけは絶対に必要」なものから、「こういう場合にはこんなパーツを組み込んでみたら……」という対症療法的なパーツ選びまでを解説していこうと思います。
オプションパーツを2種類に大別する
R/Cメーカーから発売されている『オプションパーツ』は大きく2種類に分類することができます。
一つは、純粋にスピードをアップさせるためのハイパワーモーターや軽量化を図るための部品など『性能アップのための部品』です。この部類のオプションパーツは、確かにR/Cカーの性能を上げることができますが、中には今までよりも高い操縦技術を必要とするものもあります。たとえば、技術が伴わないのにむやみにハイパワーなモーターを取り付けても、クラッシュ時のダメージが増して修理にさらにお金がかかってしまう……というようなことも考えられます。
もう一種類のオプションパーツは、R/Cカーの『セッティングを変更するための部品』です。こちらは『オプションパーツ』といっても、取り付けるだけでR/Cカーの性能が飛躍的にアップする物ではありません。あくまでも状況に合わせてセッティングするための部品です。
最初から買っておくべきオプションパーツ
ここに紹介するパーツはオプションと言うよりも「価格低減のためノーマルキットから省かれている」パーツだと思って、キット購入の時に一緒に買って組み込んでしまうくらいのつもりでいましょう。トラブル防止とメンテナンスの手間を減らせるパーツです。損はしません。
- ボールベアリング:
R/Cカーには多数の軸受けがあります。キット標準ではこの軸受けは多くの場合メタルかプラスチックの軸受けがはいっています。
これをボールベアリングに換えることで回転抵抗が減り、メンテナンスの手間も減らすことができます。
多くのキットがオプションパーツで『フルボールベアリングセット』を設定しています。これをキットと同時に購入することをお奨めします。
一部雑誌等で紹介されている「油抜き」は初心者にはおすすめしません。ベアリング自体の寿命が極端に短くなってしまいます。
- ユニバーサルシャフト:
ツーリングカーは駆動部にドックボーンシャフトとカップを使っています。
このドックボーンシャフトは多少ガタつきがないとスムーズに動くことができません。ところがそのガタが原因で走行中に脱落することがあります。それを防止するのが、ユニバーサルシャフトです。
特にフロント側はステアリングの関係でシャフトが脱落しやすいので、フロントだけでもユニバーサルシャフトを組み込んでおくことをおすすめします。
- ウレタン付きバンパー:
バンパーの前部にスポンジ状のクッションを取り付けるこのパーツ、万一のクラッシュの時に強力にシャシーを保護してくれます。
また、ボディの塗料の剥がれも防止してくれるので、苦労して塗ったボディが長持ちします。
特にサーキットではコースの仕切りにぶつけることも少なくないので、是非装着しましょう。
注意が必要なオプションパーツ
こちらで紹介するオプションパーツはよく見られるものですが、特に初心者が使用する場合はよく考える必要のあるものです。
オプションパーツの中には、中級者以上の腕前でないと使いこなせないものや、性能が向上してもメンテナンスが面倒になってしまうものもたくさんあります。そういったパーツを集めてみました。
- ボールデフ:
最近は特にハイエンドモデルでキット標準にされることも多いボールデフですが、ギアデフに比べるとメンテナンスサイクルが短いので、入門者・初心者がわざわざオプションパーツとしてつけることはお奨めしません。
走行性能は確かに上がりますが、初心者のうちはメンテナンスしなくてもどんどん走らせられるクルマを使った方が上達が早いと思います。
- 高剛性シャシー:
カーボン製ダブルデッキやカーボン混入樹脂など。人気の高い高剛性シャシーですが、シャシーの剛性が上がるとダンパーやスプリングなどのセッティングによる挙動の変化がはっきり出てしまいます。
自分でセッティングを調整できる中級者以上ならともかく、入門者・初心者のうちは剛性の低いシャシーの方が結果的に扱いやすいでしょう。
- アルミ製サスアーム:
高強度とカッコ良さで人気のアルミ製サスアームですが、サスアームが強くなりすぎてシャシーの方にダメージがいってしまう可能性があります。
これはおすすめできません。
- フロントワンウェイ:
ハイエンドモデルには標準装備されることも多いフロントワンウェイですが、これは中級者以上向けのパーツだと思った方がいいでしょう。ステアリング操作に対する反応が敏感になりすぎる傾向があるので、入門者・初心者にはおすすめできません。
詳しくは駆動のワンウェイ化をご覧下さい。
- ハイパワーモーター:
公園や駐車場など広い場所で走らせている時は、モーターのパワー不足を感じるでしょう。そういう場合は、ハイパワーモーターの装着もいいと思います。
しかしサーキットは別です。
サーキットでは、駐車場ではラクラク扱えていたモーターが手に負えない暴れ馬になります。
はじめてサーキットに行く時は一旦540モーターに積み替えて走らせてから、様子を見てモーターのパワーを上げていってください。
ハイパワーモーターについて詳しくはハイパワーモーターについてをご覧下さい。
コネクターを交換する
1/10EPカーに使用されるバッテリーのコネクターは、ほぼ左画像の三種類です。
画像の上側がアンプ側、下側がバッテリー側に取り付けて使うのが普通です。
画像一番左の白い樹脂製コネクターが最もポピュラーなもので、R/Cの世界では『タミヤコネクター』と呼んでいます。
画像中央のコネクターは、端子がT型に並んだ
『ディーンズ2ピン』と呼ばれるコネクターで、タミヤコネクターよりも低抵抗で耐熱性が高く、高性能モーターを搭載する場合によく使われています。取り付けにはハンダ付け作業が必須です。
画像右端のコネクターは
『ヨーロピアンタイプ』と呼ばれるコネクターで、バッテリー側はただのパイプのようになっています。非常に低抵抗で、バラセルバッテリーを使うような純粋なレース使用の時に使います。このコネクターはショートや逆接続の危険が低くなく、初心者にはお勧めできません。