完成品か組み立てキットか
現在は入門者に配慮してか、多くのメーカーから本格的なR/Cカーの完成品が発売されています。
わかりにくいのは、R/Cカーメーカーが発売している完成車だからといって必ずしも『本格的』とは言えないものもあるということです。
見分けるポイントとしては、
- 走行用バッテリーにキットと同じ7.2Vストレートパックを使用する。
- 走行用バッテリー以外に受信機用電源を積まない。
- モデルアップされている実車の名前だけでなく、R/Cカーのシャシーの名前が記されている。
などが上げられます。
これに該当する完成車は、事実上キットを組み立てたR/Cカーとかわりません。どうしても組み立てに自信のない方は、完成品を選ぶこともできるようになっています。
ただ、弊害がないわけではありません。
最初に説明書を見ながらキットを組み立てておけば万一走行でクルマを壊してしまっても、手際よく修理することができます。
結論めいたことをここで書いてしまうと、
初心者が最初の一台として安売り量販店の通販で完成品を買うのは、最悪の選択です。
R/Cカーは複雑な構造を持つ機械であり、そのサイズからすると信じられないような高い走行性能を発揮するものです。クラッシュすれば壊れますし、そうでなくともある程度分解してのメンテナンスが必要なものです。
いくら「安くてお手軽だから」といっても、アフターサービスの期待できない通信販売で完成品を買ってしまっては、自分でメンテナンスすることも、故障した箇所を探し当てることもできないでしょう。
インターネット上の掲示板で相談に乗ってくれるところもあります。私自身、何件もメールでトラブルの相談を受けたこともあります。しかし現実には、実際に手に取ってみなければトラブルの原因が特定できないことも少なくないのです。
現在のR/Cカーはキットといっても簡単に組み立てられるように考えられており、また組み立て説明書も丁寧でよくできたものが付属しています。
筆者は組み立てキットを購入してご自分で組み立てられることを強くお薦めします。特に、「近くにR/C専門ショップがない」という方には。
幸運にも近くに相談できそうなR/C専門ショップがあるなら、その店で完成品を買うのも選択肢の一つでしょう。
安売り量販店に比べれば最初の出費は多少高くなってしまうでしょうが、それでも、壊れたときに修理できないまま放置してしまうよりは結局は安くつく、と思ってください。
手軽に始められるといっても、R/Cカーはおもちゃではないのです。そのことを実感するためにも、ぜひ『組み立て』に挑戦してください。
完成品を選ぶ方は次の『RCカーキットを選ぶ』の項をとばして、『キット以外に必要なもの』の項に進んでください。
R/Cカーを選ぶ
入門者におすすめのキットというとまず「タミヤ製のキット」ということになります。
説明書が完璧で、組立が簡単で、整備性もよく、補修パーツが入手しやすい。と、入門車に必要な条件が全て揃っているからです。
R/Cカーを選ぶとき、シャシーで選ばずにボディで選ぶという方法もあります。
よく「ダウンフォースの大きいボディが有利だ」とか、「空気抵抗の小さいボディの方が速い」とか雑誌等に書かれていますが(それはその通りなんですが)、R/Cカーはあくまで趣味です。サーキットでのタイムを競うだけが楽しみ方ではありません。
「自分の好きな車の模型を自分の好きな色に塗って自由に走らせる」というのがR/Cカーの最初の楽しみ方だと思います。
「雑誌にこのボディが速いと書いてあったから」といって、自分の嫌いなクルマのボディを載せても楽しさは半減してしまいます。
また、「このシャシーにこのボディは載せられるか?」というのは、販売店で訊ねれば教えてくれるはずです。メールで訊ねて下されば私にわかる範囲でならお答えします。他メーカーのものでも載る場合がありますので、ぜひ「自分の好きなクルマ」のボディを選んで下さい。
最初からつけるべきオプションパーツ
ここに紹介するパーツはオプションと言うよりも「価格低減のためノーマルキットから省かれている」パーツだと思って、キット購入の時に一緒に買って組み込んでしまうくらいのつもりでいましょう。トラブル防止とメンテナンスの手間を減らせるパーツです。損はしません。
- ボールベアリング:
R/Cカーには多数の軸受けがあります。キット標準ではこの軸受けは多くの場合メタルかプラスチックの軸受けがはいっています。
これをボールベアリングに換えることで回転抵抗が減り、メンテナンスの手間も減らすことができます。
多くのキットがオプションパーツで『フルボールベアリングセット』を設定しています。これをキットと同時に購入することをお奨めします。
一部雑誌等で紹介されている「油抜き」は初心者にはおすすめしません。ベアリング自体の寿命が極端に短くなってしまいます。
- ユニバーサルシャフト:
ツーリングカーは駆動部にドックボーンシャフトとカップを使っています。
このドックボーンシャフトは多少ガタつきがないとスムーズに動くことができません。ところがそのガタが原因で走行中に脱落することがあります。それを防止するのが、ユニバーサルシャフトです。
特にフロント側はステアリングの関係でシャフトが脱落しやすいので、フロントだけでもユニバーサルシャフトを組み込んでおくことをおすすめします。
- ウレタン付きバンパー:
バンパーの前部にスポンジ状のクッションを取り付けるこのパーツ、万一のクラッシュの時に強力にシャシーを保護してくれます。
また、ボディの塗料の剥がれも防止してくれるので、苦労して塗ったボディが長持ちします。
特にサーキットではコースの仕切りにぶつけることも少なくないので、是非装着しましょう。