トップページ 
 このサイトについて 
 R/Cカーとは 
 R/Cカーを選ぶ 
 ▼R/Cカーを作る 
   ネジを締めるときのコツ 
   ギアの噛み合わせ 
   オイルダンパー 
   ステアリング系 
   サスペンション 
   ベルトの張り 
   デフギアについて 
   ボールデフ 
   カーボンシャシー 
   タイヤ接着 
  ▲メカとモーターの搭載 
  ▲ボディ塗装 
  ▲組立チェック 
 R/Cカーの走行 
 メンテナンス 
 セッティング 
 オプションパーツ 
 サーキット走行 
 リンク 
RC用語辞典で検索

電子書籍版

当サイトの内容を一括でダウンロードできる電子書籍版もございます。
iPadのアプリ「iBook」用の電子書籍データで、iPadを持っていれば無料で読むことができます。
上の表紙画像をクリックすると、ダウンロード用ページにジャンプします。

RCカー、特に4輪独立サスペンションと4輪駆動のツーリングカーは複雑な構造をもっています。
それだけに、組み立てには説明書に書かれていない色んなコツがあります。
ここでは、簡単な注意点や初心者がよく疑問に思うこと・走行性能を高めるコツまで、さまざまなポイントを解説していきます。


ネジを締める時のコツ
RCカーを組み立てるときにはたくさんのネジを締めなければなりません。
それもただ力まかせに締めればよいということではなく、順序と力加減がありますので、それについて少し説明します。


ギアの噛み合わせ
どんなRCにも使用されているギアですが、ただ噛み合わせていればいいと言う物ではありません。適度な遊びが必要です。このギアの噛み合わせの遊びを、「バックラッシュ」と呼びます。
噛み合わせがキツ過ぎれば駆動ロスの原因となり、ギアそのものの減りも速くなってしまいますし、逆に浅すぎる噛み合わせはギアの歯飛び・破損の原因となります。
このバックラッシュの最適量は、「モジュール」とか「ピッチ」とか呼ばれているギアの歯の大きさによって変化します。ここではその「ピッチ」について、簡単な知識を紹介します。

前述したように、電動RCカーに限ってもそこに使われるギアの歯の大きさは数種類あり、組み合わせて使うことはできません。
「0.4M」「0.45M」「0.6M」(「M」はモジュールと読みます)と表記されているギアはミリ単位系を採用しているギアで、数字が小さいほど細かな歯になります。
「48」「64」と表記されている場合は「64ピッチ」等と呼び、インチ単位系を採用しています。こちらは数字が大きくなるほど細かなギアです。
異なるモジュールやピッチのギアを組み合わせて使うと(たまに回るだけは回る時もありますが)とんでもない駆動ロスが発生し、ギアそのものの寿命も極端に短くなります。
キット標準以外のギアを購入する場合は、モジュールやピッチをよくお確かめの上で販売店に相談して購入して下さい。

歯の大きなギアほどバックラッシュの調整が簡単でギアの寿命も長くなりますが、駆動効率は歯が細かいほどよくなります。どちらかと言えば初心者には歯の大きなギアがおすすめですが、ギアはキットに付属してきますので、付属の物をそのまま使うのがいいでしょう。
お手持ちのキットに付属のギアが「0.4M」や「64ピッチ」だと説明書に書かれている時には、「バックラッシュの調整に気をつけよう」くらいに注意していて下さい。

簡単なバックラッシュの調整方としては、紙やビニールをギアの間に挟んで調整する方法が一般的です。
「0.4M」や「0.45M」「64ピッチ」の場合はビニール袋の切れ端(キットのパーツ袋を切って使うといいです)を、「0.6M」「48ピッチ」の場合は紙を挟んで調整します。慣れた人でも勘で調整したバックラッシュの確認用に同じ方法を採ることがあります。(筆者もよくやります。特にサーキット等では手元にあるビニール袋を切って使えるので便利)
最適なバックラッシュがとれたギアは「シャーッ」という軽い音を立てて回ります。逆に言えば、ギアが大きな音を立てているときはバックラッシュがキツ過ぎる、もしくは緩すぎて歯飛びしていると考えられるわけです。


ダンパーの組み立て
オイルダンパーはその構造から「定容量ダンパー」と「エアレーションダンパー」に分けられます。
オイルダンパーはダンパーシャフトが動くことで内部の容量が変化します。その容量変化を吸収する方法の違いで分類されています。
「定容量ダンパー」は、ゴムシール等を使ってダンパーケース内の容量を一定に保っています。タミヤ製をはじめ多くのダンパーに採用されています。
「エアレーションダンパー」はオイルに気泡を混ぜ、その気泡の収縮を利用して容量変化を吸収します。ヨコモ製のダンパー等が採用しています。
エアレーションダンパーはレース用としては優れた特性を持っていますが、内部に入れるオイルの量にシビアで「左右のダンパーで減衰力に差が生じる」というコトが起こりやすいので、初心者には「定容量ダンパー」をお勧めします。
ここでは「定容量ダンパー」について説明しながら、適宜「エアレーションダンパー」についても解説します。

ダンパーの組み立てが難しいのは の二つが大きな理由と言われていますが、どちらも簡単なコツで防ぐことができます。
図で説明しているのはゴムシール(ダイヤフラムと呼びます)を使用した定容量ダンパーですが、エアレーションと呼ばれるダンパーも基本的には同じです。
ここまでは説明書通りに組み立てます。赤色のオイルシール(Oリング)にモリブデングリスを塗っておくことでシャフト部分からのオイル漏れを防ぐことができます。
シリコンオイルを入れます。ここでは全量入れず、80%くらいにしておきます。このままではピストンの下にはオイルが入り込まずに空気が溜まっています。
シャフトをつまんでピストンをゆっくりと上げます。オイル面からピストンが飛び出してしまわないように注意します。
ゆっくりとシャフトを下へ引き、空気を抜きます。3〜5回、ピストンの下から気泡が出なくなるまで繰り返します。
ダンパーを立てた状態で放置します。ダンパー内のオイルに気泡が混ざっておらず澄んだ状態になるまで待ちます。(20〜30分。硬いオイルほど時間がかかります)
オイルを継ぎ足してケースのふちいっぱいまで入れます。気泡が入ったら、もう一度抜けるまで放置します。エアレーションタイプの場合はここで説明書通りのオイル量に調整します。
ダイヤフラムにゴミが付着していないのを確認して、ケースの上にダイヤフラムを乗せます。この時、ケース上部のネジの部分をティッシュで巻くように持ちます。
ダイヤフラムを真上から少し強めに押して、余分のオイルを出します。出てきたオイルはティッシュでふき取ります。
ダイヤフラムを動かさないように注意しつつ、ネジの溝に入ったオイルをできるだけていねいにふき取り、ダンパーケースにフタをして出来上がり。

出来上がったダンパーを耳元ですばやく動かしてみて、「クチャクチャ」という音が聞こえなかったら成功です。もし音がしたら5番からやり直し。
ダンパーケースにあふれた余分のオイルをよくふき取るのがコツ。残っていると毛細管現象でオイル漏れが続きます。ダイヤフラムにゴミが付着している場合も同じです。
もう一つ、ダンパーの組み立てで注意するのはダンパーシャフトに傷をつけないということです。
ダンパーシャフトに傷がついていると、パッキンに傷をつけてオイル漏れの原因になります。
ダンパーシャフトにボールエンドをネジ込むときに、シャフトを直接ペンチで鋏んでしまうと、傷がつきます。間にティッシュ等と挟んで傷を付けないように注意するのがいいでしょう。
もしくは、ボールエンドをネジ込むネジの付け根部分1mmくらいのところなら、Oリングと接触しません。筆者は古くなったニッパーで図の位置を掴んでネジ込んでいます。ティッシュを挟むよりこの方が力を入れやすくなります。


ステアリング系
完成したRCカーを真上から見ながらステアリング系を動かしてみると、奇妙なことにコーナー内側のタイヤ(ステアリングを左に切った時の左タイヤ)が、外側のタイヤより大きく切れ込んでいるはずです。
これは、異常ではありません。右の図を見てください。
よく見ると、コーナリング時に左右のフロントタイヤが描く軌跡は、円の大きさが違うことが分かるはずです。
これに対応するために、クルマの前輪はステアリングした時に内側のタイヤを大きく、外側のタイヤが小さく切れるようになっています。
この左右のタイヤの切れ角の比率を『アッカーマン比』と呼びます。
もしアッカーマン比が「1」、つまり左右のタイヤが同じ角度でしか切れないようになっていたり、アッカーマン比が適正でないと、コーナリング中常にブレーキがかかったような状態になってしまいます。


サスペンションの組み立て
サスペンションアームの組み立てはクルマによって違うので説明書に沿って行って下さい。
ここでは組み立てた後のサスアームのチェックポイントについて。

サスアームの動きが渋いとクルマが不自然にあばれたり、突然スピンしたりしてしまいます。「サスアームは軽く動く」これが大原則です。

サスアームの取り付け完成後、ダンパーもスプリングもつけない状態で車体を持ち上げたとき、サスがカタカタ動くようでないとダメです。
多少ガタがあっても軽く動く方を優先して下さい。(もちろんガタが大きすぎるのはダメですが)

サスの動きが渋くなる原因はいくつか考えられますが代表的な物とその対策を書いておきます。


ベルトの張り
ツーリングカーや4WDオフロードに使用されるタイミングベルトの「張り」が調整できる車種でよく見かけるのが、「張りすぎ」です。
おそらく「歯飛び」がこわくてついつい張りすぎてしまうのでしょうが、伝達効率も悪く、ベルトの寿命も縮めてしまいます。
ベルトの張りの最適量はそのベルトの長さにもよるのですが、図のようにベルトを指で押してみて

フロントベルト(長い方)で5〜8mm・リアベルト(短い方)で3〜5mm
くらい自由度があるといいです。これは一般的な値ですので、基本的にはキットのマニュアルに従って下さい。

新品ベルトは使いはじめに少し伸びることがあります。初走行からバッテリー5本くらい走らせたところで、一度「張り」の確認・再調整をして下さい。これはベルトを交換した直後もおなじことです。


デフギアについて
デファレンシャルギア、略してデフギア。RCカーの世界ではギアを使わずボールで同じ機能を持たせる「ボールデフ」があるため、単に「デフ」ということも多いです。
右図のように、コーナリング中のクルマは左右のタイヤが移動する距離が違い、結果として左右のタイヤに回転数の差が発生します。デフは、この左右の回点差を吸収してそれぞれのタイヤに適切な駆動力を伝える役目をします。
正しく組み上げられたデフは、ギア(プーリー)自体を固定した状態で片方のタイヤを回転させると、もう片方のタイヤは逆方向に回転します。デフを車体に組み付けて、モーター・ギア類まで完全に組み立てた状態でタイヤを回しても、多くの場合は同じように反対側のタイヤが逆回転します。
もし反対側のタイヤが同じ方向に回転してしまったり動かなかったりした場合は、組み立て間違いや動きが重すぎるなど、異常である可能性があります。再度説明書を見てチェックしてください。


ボールデフの組み立て
ボールデフ、特にリアのボールデフは動きが軽いことが第一条件です。
初めて組み立てる時は、左右のドライブカップを固定して、手でプーリー(ギア)を回せなくなるギリギリのところに調整します。

上画像左で使用しているのは、デフセッティングツールと呼ばれる専用のジグです。これをつかうと左右のカップが簡単に固定できて便利です。
デフセッティングツールがない場合は、細い六角レンチを2本使って、左右のカップを固定します。上画像右側を参考にしてください。
ボールデフが緩すぎると走行中(特に発進加速時等)にボールデフが滑り、甲高い金属音が鳴ってゆっくり加速していくことになります。
逆に硬すぎるとコーナリング時に非常に扱いづらいセッティングになります。
高速コーナリングで、コーナー脱出時に突然クルマが巻き込んでスピンしたようになってしまう場合は、ボールデフが硬すぎる可能性があります。
ボールデフは、デフプレートが新品の時はバッテリー2〜3本分走行後、ボールとデフリングのアタリがついて多少緩みます。新品デフプレートを使用しているときは必ず2〜3パックで一度締め込みを調整して下さい。


カーボンシャシーの瞬間流し
高価なカーボンシャシーは性能が飛躍的に上がりそうな気がしてついつい欲しくなるものです。たしかにシャシー剛性が高くなり、軽量化にもなります。
しかし、シャシー剛性が高くなるということは、セッティングにシビアになるということでもあります。
初心者の内はセッティングを煮詰めなくてもそこそこ走らせやすいバスタブシャシーやFRPシャシーでどんどん走らせて、ウデを磨くのがいいと思います。

カーボンシャシーは、クラッシュなどのショックによって積層した部分がめくれ上がるように剥離することがあります。
これを防ぐために、あらかじめ断面に瞬間接着剤を染み込ませておくのが、『瞬間流し』です。
まずカットされたカーボンシャシーの断面を、600番程度のペーパーで軽くこすってエッジを落とします。
次に低粘度の瞬間接着剤をその断面に少しだけ染み込ませます。たくさんつけるとシャシー表面を流れて汚くなるので、ごくわずかずつつけるように注意してください。


タイヤの接着
タイヤ接着の話にはいる前にひとつだけ注意を。
メッキされたホイルは先にタイヤの接着面の部分のメッキをはがしておく必要があります。左画像のように荒いサンドペーパーでゴムタイヤが接着される部分のメッキをはがして下さい。メッキしたままの状態でタイヤを接着しても、走行中にはがれてくる恐れがあります。メッキは必ずはがして下さい。(最近は最初からこの部分のメッキを剥がしてあるホイルも市販されています)

ツーリングカーやオフロード等に使用される中空ゴムタイヤのホイルへの貼り付けには低粘度の瞬間接着剤を使用します。
ドーナツ状になっていないインナースポンジを使用する場合は、あらかじめドーナツ状に接着しておきます。このスポンジの接着には瞬間接着剤は使えません。合成ゴム系接着剤を使用して下さい。接着面は回転方向に対して斜めにカットしておきます。(ほとんどの製品がこのようにカット済みです)これは接着剤の使用によるスポンジの弾性の変化を散らせるのが目的で、回転方向に対して直角にカットして接着すると走行中にクルマがバタついたり不安定になる可能性があります。
ドーナツ状になったインナースポンジをタイヤの中に入れ、さらにホイルを押し込みます。
この時、タイヤのリムがホイル側の溝にきっちり収まるようにして下さい。内側にスポンジがはさまっていたりすると、瞬間接着剤がインナーに吸い込まれてしまいますので特に注意して下さい。
タイヤをきっちりとはめ込んだら、リムの一部を軽くめくり上げて瞬間接着剤を少しだけつけます。めくり上げた場所一カ所を点着けするのではなく、タイヤとホイルの間に流すように接着剤を入れます。ただし大量に入れるとインナースポンジにまで流れてしまいますので、「少しだけ」に留意して下さい。
インナースポンジに瞬間接着剤が流れ込むと、硬くなってバイブレーションの原因になります。ホイルの片側について3カ所くらいから接着剤を流すつもりで、少しずつ接着します。
ホイルの片側に接着剤を流し終えたら、タイヤのトレッド面を押さえるようになにかで縛ります。筆者はタイヤストッカーとして販売されているベルクロのテープを使っています。この状態で5分ほど放置。
接着剤が完全に乾いたら、ホイルの反対側にも同じように瞬間接着剤を流して、ふたたびテープを巻いておきます。走行に使用するまでは最低1時間くらい待ちましょう。

タイヤ・インナーのセッティングに関しては、セッティングの項で触れます。