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R/Cカーの初走行は、実車レースカーと同じく「シェイクダウン」と呼ばれ、組み立てがきちんと行われたか、ギア比等の初期セッティングが適切かのチェックと、部品の初期慣らしの意味があります。
ここでは、そのシェイクダウン走行の準備と、トラブルを早期発見するコツなどを解説します。


初走行の準備
さて、車の組立も終わり、ボディも美しく塗装し、遂に初走行です。
しかし、RCカーには種類によって走行に適さない路面もあります。「とりあえず、いいや」なんて軽く考えていると、初走行でいきなりトラブル連発、ロクに走らせない内に修理のために大出費……なんてことになりかねません。(実は、やったことがあるんです)
ツーリングカーやオフロード車は基本的にはタイヤを選ぶことで大抵の路面に対応できますが、やはり「走らせやすい路面」というのはあります。
それも含めて紹介しましょう。
カテゴリー走行に適さない路面走行に適した路面
1/10 ツーリング
1/10 ミニクラス
ベルトやプーリーが露出している車種は、砂地や小石のある場所では走らせないこと。それ以外は、タイヤを交換することでかなり広範な路面に対応できる。 スリックタイヤを履かせて、砂の浮いていないアスファルト路面で走らせるのが、一番コントロールしやすい。
1/10 F1
1/10 プロテン
砂地は論外。アスファルトでも砂が浮いていたり、ギャップがあるような場所は避けた方が無難。シャシー裏にキズがつく。 できる限り砂の浮いていない、平坦なアスファルト路面。
1/10 オフロードキットに標準のピンタイヤはアスファルト路面には適さない。アスファルトの場合はスポンジタイヤかスリック、せめてブロックパターンを。 オフロード車らしい走行を手軽に楽しむには、学校の校庭のような砂地の乾いた路面が最適。この場合タイヤはピンタイプでだいたい大丈夫。
1/12 オンロードF1以上に路面にうるさい。RCカー専用のサーキット以外の走行は勧めません。 RCカー専用サーキット
初走行でいきなりサーキットに行くのは避けましょう。サーキットでモタモタしてると他の人に迷惑になるし、たいていの人は気後れしたり舞い上がったりでロクに走らせることができません。
オンロードなら公園等の駐車場で、早朝とか使われていないところで走らせるのがいいでしょう。オフロードだったら公園内のグラウンドとか……。できるだけ平坦で広い場所がいいです。マメに通うためにも、近くでそういう場所を見つけましょう。
走らせる場所が決まったら、初走行に出かける前に走行用はもちろん送信機のバッテリーもチェックしておきましょう。

雨の後、水たまりがあるような場所は、走行に適しません。
クルマに搭載されているメカ、特にアンプは水に対して極端に弱く、FET素子の冷却部が水に濡れると一瞬でブローしてしまいます。
また、その他の受信機・モーター・バッテリー等の内部でショートしたら、どこが壊れるか分かったものではありません。
レース等特殊な状況下では万全の防水対策をした上で無理矢理走行させることもありますが、練習走行はやめておいた方が無難です。


走行時のマナー
RCは趣味ですが、電波を使います。使い方によっては他人に迷惑をかけることもありますし、万一エンジンカーが暴走して、人に当たったりしたら最悪骨折という事態も十分にあり得ます。
「自分のクルマは電動カーだから大丈夫」ではないのです。
プロポの電波はエンジンカーも電動カーも同じです。誰かがエンジンカーを走らせている場所で、気付かないままあなたが同じバンドのプロポのスイッチを入れたら、当然エンジンカーはノーコンになります。
ノーコンになったエンジンカーが誰かに怪我を負わせたら、その怪我はあなたの責任です。

これを防ぐ方法は、ただ一つ。
あなたが走らせようとしている場所で誰かがRCカーを走らせていたら、まずバンドを確認することです。
もし同じバンドを使用していたら、どちらかが予備バンドに変更するか、交替で走行するようにしないといけません。
RCの世界では暗黙の了解として『同バンドの混信によるノーコンはあとでスイッチを入れた方の責任』というルールがあります。
「近くでRCカーを走らせている人がいたら、バンド確認のために一声かける」
これだけは必ず守って下さい。


初走行でまずやること
さて、初走行に際してまずクルマの最終チェックをしましょう。
電源スイッチは必ず送信機からONにします。マシンのタイヤが空転できるようにしてから、受信機の電源を入れること。
これらは、受信機のスイッチを入れた瞬間にクルマが走り出さないようにするための用心です。
もしここでタイヤが空転して止まらないようであれば、アンプのニュートラル調整がとれていません。アンプのマニュアルを読んで調整しなおしましょう。この場合はハイポイント等も調整する必要ありです。

次にチェックするのはステアリングの方向です。クルマを後ろから見て送信機のステアリングだけを操作し、フロントタイヤの向きが一致していることを確かめましょう。もし違っていたら送信機のリバーススイッチを切り替えます。

早く本格的に走らせたい気持ちを抑えて、もう一つだけチェックです。
もう一度クルマの真後ろに立って、今度はゆっくりとスロットルを上げます。一気にやらずに、ハーフスロットルでゆっくり走らせるんです。
ここでクルマがまっすぐに走っていくことを確認します。もし駐車場にラインが引かれていたら、そのラインに沿って走らせるのがいいでしょう。
もしまっすぐ走っていないようなら、トリムを使って調整しましょう。
もともとまっすぐ走らないクルマでは、走らせていてもストレスがたまるばかりです。トリム調整は慣れるまで面倒ですが、きちんとやってください。
(慣れればレース中でもトリム調整できるようになります。レース中にそんなことやってちゃダメだってば……)

さあ、これでクルマの最終チェックは終わり。やっと本格的な走行です。
できればこれらのチェックはその日の走行前に常にやるように習慣付けましょう。


異音・故障
異音やトラブルの対処法は、メンテナンスの項に詳しく解説しています。


基礎の基礎の練習(オーバル)
練習は駐車場等の開けた場所を選んで下さい。
まず、目印(パイロンといいます)を置いてコースを設定します。パイロンはガムテープを路面に張り付けてもいいですし、空き缶をたててもかまいません。
まずはまっすぐ走らせる練習です。
パイロンを1メートルくらいの感覚で二つ並べ、10メートルくらい離れたところから直進してその間を抜け、足下まで返ってこさせます。
完璧に調整されたクルマでも路面のでこぼこや傾きなどですこしずつ曲がっていきます。ここではそれを修正しつつ「直進する」練習をします。
パイロンの間を抜けたらUターンさせて元の位置に戻します。この時、帰り道も出来るだけ自分に向かってまっすぐ走らせるようにします。(これが対面走行の練習になります)

少しクルマの動きに慣れてきたら、パイロンを10メートルくらい離して置き、その外側を周回する練習をします。(この周回コースを「オーバル」と言います)
パイロンの周囲を回るときはできるだけ小さく回るようにしましょう。そのためには、直進中に充分スピードを落としておかないといけないことに気付くはずです。逆にコーナリングの終わりではスピードを上げていきます。
これが「スローイン・ファーストアウト」で、RCカー・実車を問わないコーナリングの基本です。
パイロン周回の練習はときどきパイロン間を8の字に回って回転方向を入れ替えて行います。(左右両方の練習をするためと、タイヤを片減りさせないため)

この二つの練習だけで、広いところではだいたい意のままにRCカーを走らせることが出来るようになるはずです。
ここまではカンタン。たぶん1日の走行でバッテリー3〜5本もあれば出来るようになります。


対面走行について
RCの操作で最初にとまどうのは、プロポのステアリングの左右はあくまでもクルマにとっての左右であって操縦者の左右ではないということです。
図のように、クルマが向こうに走っていくときはプロポの操作とクルマの向きは一致しますが、逆に近寄ってくるとき(これを対面走行といいます)は逆になります。もちろん、操縦者の前を横切るように走ることもあるわけですから、慣れるまでは思った方向に曲がるためにどちらにステアリング操作していいか戸惑うこともあります。
ただ、これは簡単な練習ですぐに慣れますので心配する必要はありません。



スラローム
基礎の基礎をマスターしたら、今度はスラローム走行です。図のように4つくらいのパイロンを1列に並べます。間隔は最初は2メートルくらい開けておくといいでしょう。
パイロンの間をジグザグに走行し、帰りはまっすぐ戻ってくる……というコースです。
一度やってみるとわかるのですが、ただゆっくり走りながらステアリングを左右に切っていても、なかなかうまく走れません。 スロットルとステアリングの両方を使ってクルマの姿勢をコントロールする練習です。
これはかなり難しいです。テンポよくやらないとクルマはとんでもない方向へ走っていってしまいます。
ある程度走れるようになったらパイロンの間隔を少し近くします。
また、パイロンの間隔を等間隔でなくバラバラにすると一定のテンポで走れなくなり、さらに難易度が高くなります。
この練習は筆者もたまにやっています。ニューカーとかのクセを見たりするのにも有効です。


走行後のチェック箇所
RCカーを走らせた直後、チェックしておいた方がよいことがあります。
それは『発熱』です。こればかりは走行直後でないとわからないので、是非見ておいて下さい。
『バッテリー』『モーター』『アンプ』『バッテリー用コネクタ』『モーター用コネクタ』これらの箇所を指で触って、触っていられないほど熱くなっていないかをチェックしておくのです。
これは走行後のメンテナンスや今後のセッティング変更・エクイップ類のアップデートの時にとても役立つ情報になります。
このチェックについて詳しくはメンテナンスの『一番熱いのはどれ?』の項で解説します。